
春は、暖かくなり気分も軽やかになる一方で、疲れやすかったり、うつっぽくなったり、不調を感じた経験はありませんか。
新しい出会いや環境の変化が多いこの季節は、人間関係などでストレスや疲れを感じやすい時期です。
実は、こうした春に起こりがちな不調は、「気(エネルギー)」の乱れが関係しているかもしれません。
薬膳の考えでは、春は「肝」に影響する季節です。そのため、肝を大事にすることで、気が巡り、疲れやストレスと上手に付き合えます。
この記事では、春の不調を和らげるために、肝を労わる食材や、簡単に作れるスープレシピをご紹介します。
薬膳が初めての方でもわかりやすい言葉で説明していますので、ぜひ最後までお読みいただき、心地よい春を迎えましょう!
春は「肝」!気を巡らせ血のバランスを整えることが大切
春に感じる疲れやストレスは、「肝」を大切にすることで改善されます。
漢方でいう「肝」は肝臓とは違い、次のような2つの役割があります。
- 気(エネルギー)をスムーズに巡らせる
- 血液を蓄え、全身の血液量をコントロールする
肝を労わる食生活を心がけることで、春の疲れやストレスと上手に付き合えるようになります。
1、気(エネルギー)をスムーズに巡らせる
肝は、春の陽気に影響して気の巡りが活発になります。「気」は、心や体を健康に保つために必要なエネルギーです。
しかし、肝はストレスを受けやすく、負担がかかるとイライラや不安感といった症状が現れます。
春は、新学期や人事異動など、人間関係や環境の変化が多い季節なので、ストレスも感じやすいですよね。
気の巡りをよくするために、香りの良い食材や柑橘系の果物を取り入れたり、アロマなどを使ってリラックスしたりしましょう。
2、血液を蓄え、全身の血液量をコントロールする
肝は、血液を蓄えて、体の状態に合わせて血流を調整します。
春は活動量が増える分、血が消耗されて肝の働きが弱まりやすくなります。すると、貧血や目の疲れ、不安感、イライラといった不調が現れるのです。
そのため、血液をしっかりと補っていく必要があります。
血を補うには、鉄分を多く含む食材や、黒ごまや黒豆などの黒い食材を意識的に取り入れましょう。
また、深夜1時から3時は肝の働きが活発になり、血液をきれいにします。そのため、23時から深夜1時までには眠りにつき、十分な睡眠をとることも大切です。
春におすすめの2つの薬膳食材
肝を整えるために「気の巡りを助ける食材」と「血を補う食材」を取り入れましょう。
また、薬膳では「旬の食材」を取り入れることで、その季節にあった効能を得られるという考え方があります。
春の季節に合う食材を上手に活用し、気と血の巡りを整えていきましょう。
気の巡りを助ける食材
気の巡りをスムーズにしてくれる食材は、香りの良いものや、柑橘類、酸味のある食べ物です。
・香りのある野菜
しそ、セロリ、パクチーなど香りの良い食材は気を巡らせてくれます。また、玉ねぎも気の巡りをよくし、消化を助けます。
・柑橘類
グレープフルーツ、みかん、オレンジなどの柑橘類は、気の巡りを良くして食欲を促します。いつものサラダにちょい足しや、ドレッシングとして使うのもおすすめです。
血を補う食材
血を補う食材は、鉄分を多く含む肉類や野菜、黒ごまや黒豆などの黒い食材です。
・鉄分を多く含む食材
鉄分は、レバーや赤身の肉類、タコ、カツオ、マグロなどの魚介類、ほうれん草や小松菜などの野菜に含まれています。
・黒い食材
黒ごま、黒豆、黒きくらげ、ひじきなど、昔から「黒いものは体に良い」とされてきた食材は、血を補ってくれます。
【春の薬膳スープレシピ】アスパラと鶏むね肉の黒酢サンラータン

春に旬を迎えるアスパラガスを使った、気の巡りと血を補う簡単スープです。鶏むね肉や卵のタンパク質で血を補い、たまねぎと黒酢で気を巡らせた、心と体を整える一品です。
材料(4人前)
- 鶏むね肉(1枚)
- 人参(1/3本)
- 玉ねぎ(1/2個)
- 干し椎茸(4,5枚)
- アスパラガス(4,5本)
- 絹豆腐(150g)
- 卵(1個)
- 水(干し椎茸の戻し汁と合わせて800ml)
- 鶏がらスープの素(大さじ1)
- 生姜(1片)
- 酒(大さじ1)
- 醤油(大さじ1)
- 黒酢(大さじ2)
- 水溶き片栗粉(片栗粉 大さじ1、水 大さじ1)
- 塩コショウ(適量)
作り方
- 干し椎茸は前日から水で戻しておく。
- 鶏むね肉は細切りに切り、塩コショウをして片栗粉(分量外)をまぶしておく。
- 人参は短冊切り、玉ねぎは薄切り、干し椎茸は石づきを落として細切り、アスパラガスは斜め薄切り、絹豆腐は1cm角の拍子木切り、生姜は千切りにする。
- 鍋に鶏がらスープの素・戻し汁・水を入れ、生姜、人参、干し椎茸を入れて火にかける。
- 沸騰してきたら、鶏むね肉とアスパラガスを加え、酒、醤油を加える。
- アクを取り、具材に火が通ったら、水溶き片栗粉を入れてとろみをつける。
- 少し火を弱め、絹豆腐と卵を回し入れて、ふんわりと混ぜる。
- 最後に、黒酢と塩コショウで味を整える。
黒酢は最後に入れて、酸味と香りを残すのがポイントです。お好みで、盛り付け後にラー油を足すと、サンラータンらしい辛味も楽しめます。
とろみのあるスープで体を温めながら、肝の働きを助け、元気に春を迎えましょう。材料を鍋に入れていくだけの、簡単に作れるスープなので、ぜひお試しください。