ピックアップ
片付けは9割「だわへし」|健康本11

みなさま2025年のゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたでしょうか? とかいっていたらあっという間にもう6月、1年の折り返し地点にきております。

とはいってもまだまだお正月気分で過ごしたくて過ごしている、健康本コラムニスト・おかししかおです。

今回は「人は見た目が9割」という本が流行ってから増殖が止まらない「9割本」にまつわるコラムです。

「人は話し方が9割」「伝え方が9割」「ダイエットは習慣が9割」「心配事の9割は起こらない」「祈り方が9割 願いが叶う神社参り入門」・・・もーキリがない。

それはそれは日本の「9割」を覆い尽くす勢いなのです、たぶん。

どうして人は「9割」に惹かれるのでしょうか。それは、あえて「未完成」を目指した日光東照宮の「逆さ柱」や目のない「目貫きの龍」の彫刻といった「建物は完成と同時に崩壊が始まる」という、あえて「完全=10割」を回避する古来から日本になじみのある考え方だからなのかもしれません。

「人って不完全だもの」という相田みつをの囁きなのかミツバチの囁きなのかが聞こえたような気がしました。あっ、蚊の囁きだった、もうそろそろ夏ですね。夏バテに注意して過ごしたいな。

(私が書きたかったのはここまででもうおしまいにしたいのですが、いつもやさしくてイケオジのケアラ編集長に激オコされそうなので9割くらいの力でつづけたいと思います。)

さてそんな「9割本」の迷子になっていた私が本屋で見つけたのが、「片づけは整理9割、収納1割」(著者・井田 典子)です!

600軒片付けた著者が伝える、必ずよくなる整理法ということで、すこやかな生活のためにとっちらかった部屋を片付けようと思って購入した本となります。

料理界に土井善晴さんがいるとしたら、片付け界には私がいる!とばかりに著者・井田典子さんのユーモアかつ理路整然とした片付け術に引き込まれていきます。

本を読み終わったときにはきっと部屋も心も整理されているはず。
という期待をもってさっそく内容紹介へレッツゴー&片付けスイッチオン!

▲「片づけは整理9割、収納1割」井田 典子 (著) \片付かない理由は混在ですよ!/

でも…片付けってめんどくさいんだよなー、なにから手をつければいいか分からないし…
とりあえず、片付けは後回しにして寝っ転がってスマホでもみよーっと。

そんな私を叩き起こすパンチライン「だわへし」!

「出す」「分ける」「減らす」「しまう」の頭文字を組み合わせた著者の言葉です。

うーん、この言葉のインパクトは「だっふんだ」*以来☆

(志村けんさんのコントで使用された言葉「だっふんだ」で育った私の世代には特にぐっとくるように思います。忘れないように言葉の末尾にくっつけておくだわへし。)

「だわへし」は片付かない理由である「混在」を無くす方法です。

というように、めんどくさがりが目を覚ますパワーワードを自然と放り投げてきたり、トウガラシのようにぴりっと刺激のある内容で片付けする気分を叩き起こしてくれる本となっています。

それに、掲載されている写真のお部屋がモデルルームのようにきれいでうっとり。

「だっふんだ」*AI による概要
「だっふんだ」は、主に志村けんさんのコントで使用された言葉です。意味は「へえ、そうかいな」や「ああ、そうかい」のような、驚きや同意を意味する言葉です。元々は、上方落語の桂枝雀さんが得意とした「ちしゃ医者」という噺に出てくるフレーズから、志村さんが着目して使ったとされています。

▲参考画像/日光東照宮の「逆さ柱」(まっぷるトラベルガイドより)

内容としてはまず「整理」をすることの大事からはじまり、その次に実践的な片付け方法が書かれています。

1章 「整理」とは、必要なものを選ぶこと
2章 キッチンは、種類別に整理
3章 書類は、活用するために整理
4章 衣類は持ち数の把握から
~もくじより~

でもただ片付けるだけじゃなく
「住まいは人が主であってほしい」
「イマヤルノガイチバンハヤイ」
「キンコンカンの法則」(近く・コンパクト・簡単)

…etc

モノを片付けられないのをむやみに叱りつけるわけではなく、まるで片付けの宣教師のように丁寧にその原因と解決方法を説いています。

例えば、キッチン整理+収納のポイントは以下の感じ。

<整理>
①カテゴリー別に整理
②レギュラーを選ぶ
③ストックは食べきれる分だけ
④中身が見える透明容器
⑤思い出を減らす

<収納>
①床置きしない
②スキマに入れない
③ぶら下げない

あまりキッチンに立ち入ることがない私ですが、実家の冷蔵庫は開けるのが怖いくらいモノが詰め込まれています。
開けるとなにかが私を襲ってくるのです、それがサンマだったときはおどろきました。

話を戻すと<整理>⑤の項目はキッチンに限らず、いろいろな整理に役立つ考え方だなあと思います。

そんなように片付けのポイントが分かりやすくまとめられていて、①②③といった具合に段階的に片付けのステップが踏まれています。

分かりやすいは正義!だと思っちゃう。

最後にまたタイトルに戻りますが、片付けについてが「9割」くらい本の内容を占めています。「収納は1割」といった感じ。

ということは…!?

収納がなくても片付けはできるということ!

ついついモノが溜まりがちな「キッチン」「書類」「衣類」の実践はとくに見逃せないと思います。

お部屋の中での移動の導線を確保するなど、「生活」を一番に考えている著者ならではの片付け本なのでした。

足の踏み場もなくつま先立ちで移動して足をつるを繰り返している私も、片付け気分になってくる効果的な本なのでございました。

部屋の片づけは心の片付けとはよく言ったものです。

それでは、また次回の本でお会いしましょう!だっふんだ!だわへし!

<今回ご紹介した本>
片づけは整理9割、収納1割
井田 典子 (著)

出版社:婦人之友社
発売日:2024/5/31
言語:日本語
単行本(ソフトカバー):128ページ
寸法:21 x 14.8 x 1 cm

<著者について>
井田典子 いだ のりこ

横浜友の会(『婦人之友』読者の集まり)会員。整理収納アドバイザー。1960年広島市生まれ。整理収納、時間の使い方などのシンプルライフを『婦人之友』誌上で紹介。

各家庭の暮らしに寄り添った「片づけ訪問」は約600軒。テレビや雑誌など各メディアで活躍するほか、全国各地で行う講演会も好評。著書に『「ガラクタのない家」幸せをつくる整理術』、『井田家の40年 暮らしとお金のありのまま』、絵本『はなちゃんとぴかりん ピカピカだいさくせん!』など。

おすすめの記事