バイオ技術が発展して遺伝子を組み換えした作物ができるようになりました。
遺伝子組み換え作物(GM作物)は、バイオ技術を用いて特定の性質を持った植物として成長します。この技術で他の生物の遺伝子を導入したり、特定の遺伝子を操作することで、自然には存在しない特性を持たせています。
遺伝子組み換えされた作物を遺伝子組み換え作物(GM作物)、GM作物で加工された食品を遺伝子組み換え食品(GM食品)と呼びます。
※GM・・・Genetically Modified(遺伝子組み換え)の略
なぜ遺伝子組み換えの作物(GM作物)を作る必要があるのでしょうか?安全性は大丈夫なのでしょうか?
これらの疑問について、遺伝子組み換え作物(GM作物)はどのようなものなのか要点をまとめてみました。
なぜ遺伝子組み換え作物(GM作物)が必要になったのか?
遺伝子組み換え作物を作る理由として、それは農作業における効率化を図るためです。
具体的には主に「除草剤に強い作物」「害虫に強い作物」が挙げられます。
・除草剤に強い作物
除草剤を使うと大事な作物も枯れてしまいます。遺伝子組み換えで除草剤に強い作物にすると、除草剤で雑草は枯れて大事な作物は元気に育ちます。
・害虫に強い作物
遺伝子組み換えにより、寄生する害虫が作物を食べると、その作物が毒性を発揮して害虫による被害を防ぐことができます。
遺伝子組み換えの技術により、広大な畑での除草作業を効率化し害虫にも強い作物になることができます。結果的に農業生産性の向上、害虫や雑草に対する耐性を持つことで、収穫量が安定し、コスト削減が期待することができるようになりました。
世界で栽培している遺伝子組み換え作物(GM作物)
遺伝子組み換え栽培面積1位はアメリカで栽培される大豆とトウモロコシのほぼ85~95%が遺伝子組み換え作物となっています。次にブラジルで遺伝子組み換え作物の栽培面積は世界2位となっています。
遺伝子組み換え作物の世界における栽培面積の割合は、北米と南米が世界の90%以上を占めています。
幸いなことに、日本では遺伝子組み換えされた小麦粉の流通や栽培について認められてません。そして、その他作物についても日本国内で食用のGM作物を栽培していません。
遺伝子組み換え食品(GM食品)の安全性について
「国内での基準について」
日本では、GM食品が市場に出る前に、食品安全委員会での厳格な安全性審査が義務付けられています。これに合格しない限り、流通や販売はできません。日本で許可されている遺伝子組み換え作物は、トウモロコシ、ダイズ、セイヨウナタネ、ワタ、アルファルファ、テンサイ、ジャガイモ、パパイヤの8作物323品種です。それ以外の作物や、飼料用途以外で使用することは原則禁止されています。
・GM食品の安全性は?
国内では一定の基準のうえ、GM食品が流通していますが、長期的なデータも無いので必ず安全かどうか判断できないという現状もあります。
遺伝子組み換え作物は、自然界に存在しない作物となります。この点について問題があると指摘されていて、とある米国研究所では安全性を立証することは不可能だと結論付けてます。
・除草剤に発がん性?
遺伝子組み換え作物に使用する除草剤により発がん性があると懸念されています。実際に米国では訴訟問題に発展して係争中です。
・家畜の餌にも
家畜の餌にも遺伝子組み換えされた餌が多く使われており、とうもろこしや大豆などがよく使用されます。安全性の有無は不明ですが、普段からそのような家畜による豚肉や牛肉や鶏肉などがスーパー等で流通してます。
食品表示ラベルについて
各食品について、GM作物を使用しているかどうか、ラベル表示に記載している場合(表示義務①)と記載してない場合(任意表示②)があります。
①ラベル表示義務の対象となる食品
以下の食品にはGM食品かどうかラベル表示義務があります。
・9種類の作物
(大豆、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ、からし)
・33種類の加工食品(納豆、豆腐、味噌など)
ラベル表示について、意図せざるGM作物の混入率が5%以下の場合「分別生産流通管理済み」と明記する。GM作物の混入がない場合「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」と表示します。
②任意表示となっている食品
上記①の作物と33種類の加工食品以外、ラベル表示の義務が無く任意表示となっています。その他、GM作物による餌を食べて育った家畜類、店内で調理された食品などもラベル表示の義務は無いです。
トウモロコシは、コーンスターチとして様々な加工食品の原材料ととなってます。その多くは輸入されたトウモロコシですが原材料表示をみてもGM作物かどうか(任意表示ため)判断ができないことがほとんどです。
私たちは知らないまま多くのGM食品を口にしている可能性も多くあります。
まとめ
GM作物の種の開発と除草剤の開発は同じ企業が行っているというのは有名な話です。また、GM作物の種に特許がるので、収穫した作物より種を収穫して使用することはできません。つまり毎年、種を購入する必要があります。このような"食のコントロール"という背景でGM作物そしてGM食品が世界中に広がりました。
GM作物やGM食品を食べるということは、それとセットに使われている除草剤の危険性についても認識する必要があります。
スーパーなどで食品を購入する際には、食品ラベルの原材料名を確認してGM作物が使われているかどうか確認する必要があります。「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」または「分別生産流通管理済み」の表示があるかどうか確認しましょう。
ただし、表示義務のない加工食品も多くあり、GM食品を必ず避けることは難しいという現実を理解する必要があります。GM食品について気にはなりますが出来る範囲内で対策することとなるでしょう。