「食」の問題で記憶に新しいのが去年の米不足ではないでしょうか(令和の米騒動)。スーパーマーケットの棚に米が無くなり世間を大きく騒がせました。さらにさかのぼると過去に「平成の米騒動(1993年)」というのもありました。
「平成の米騒動」の原因は、記録的な冷夏による天候の影響が大きいと言われています。そしてそれに拍車をかけているのが減反政策でした。米の生産量が前年比74%に落ち込み深刻な米不足でした。スーパーマーケットや小売店などから米は消え、コンビニのお弁当や飲食店でも米量が底を尽き、輸入されたタイ米を使用していた記憶があります。
「令和の米騒動」では、スーパーマーケットなどの棚はからっぽでしたが、外食産業やお弁当までの米量までは底を尽くことなく、新米が流通する頃になると米不足は解消されました。
今年もまた米不足?!
2024年「令和の米騒動」の原因として「2023年からの猛暑の影響でお米が不作だったこと」「円安の影響で多くの外国人観光客が来たこと」とされています。
今後の見通しについてどうなるか。2024年産米の収穫量は、農林水産省の発表によると679万2,000トンで、前年産に比べて2.7%の増産となりました。増産に転じたことは良いことですが、たった2.7%の増産で今年の米量を補えるほどの増産になったでしょうか?
収穫量からのみ予測すると、今年もまた米不足になるのではと不安になります。
米の値上げが凄い
市場の価格は需要と供給により決定されます。まさにお米の値上がりの原因として、お米の消費需要の増加そして生産量の減少が主な原因となります。
そして2024年産米の相対取引価格(※)は2万4665円となり前年の1万5865円と比べると約1.5倍に跳ね上がったことになります。これは需要と供給のバランスが崩れて米の生産量が足りてないという状況になります。
※相対取引価格
生産者(農家)と買い手(卸売業者など)の間で直接交渉して決められる価格のこと。生産地や品種、品質、数量、納期、運送条件などを考慮して、当事者間で価格が決定されます。
2024年米の消費量に着目すると、前年とほぼ変わらないデータとなっています。つまり消費量は変わらず値上げしたということは、値上がりした分、農家なのか卸業者なのかその利益を得ていると分析することができます。
茨城県で農業を営む米農家さんへ聞きました。
「豊作なら価格も下がり、不作なら出荷量が減るので利益はほとんど変わらない」
とのことでした。
とうことは米を買い取る卸売業者等が米値上がり分の利益を得ている可能性があるのではないでしょうか。もしそうだとしたら、本来なら手間暇かけ苦労しながら米を作る農家さんに利益を厚くするべきと思いますが…。
米農業を守るべき
米は日本の食文化の中心であり、おにぎり、寿司、和菓子などの伝統料理には欠かせません。また、稲作に関連した祭りや伝統行事も地域文化を支える重要な役割を担っています。
自国で必要な分の米を生産することで、輸入に頼らずに私たちの「食」を守ることができます。仮に世界の食料供給が不安定になっても、自給率が高ければ安定した食料供給を確保できます。
私たちの「食」にとって非常に大事な農業ですが、日本の農業において様々の問題点を抱えております。
・減反政策は不要
1970年から続いた減反政策は安倍政権で終了しましたが、補助金を出して水田を畑に変えている政策が続いています。これは実質的に現在も減反政策は続いているということです。日本の主食である米は輸入に頼らず100%の国産米を食べるべきです。
・国の安全保障は食である
日本の食料自給率は、カロリーベースで38%で世界的にもかなり低い水準です。テレビのニュースで有事に備えて軍事増税をするというのを見かけます。確かに軍事力も有事の際には不可欠ですが、本当に有事に必要なのは軍事力だけでしょうか?武器やミサイルの軍事力も必要ですが、軍事力だけでなく食料需給率を上げることも有事にとって重要なことです。食料需給率が低く輸入に食を頼る仕組みなら、軍事力を使う以前に有事に対応することが出来なくなります。
・小規模農家を守るべき
現在、(日本の)大手株式会社の多くは外資が参入し利益は配当金として海外に流れています。農業に関してい言えば、農地法の規制などで大規模企業が農業に参入することは困難となっています。そのため農業のほとんどは小規模農家です。もし農業を株式会社化したら外資が参入し品質を無視した利益優先の農業ビジネスになってしまうでしょう(利益も海外に流れます)。利益が少ないと言われる農家ですが、ここは日本の米を守るために政府は補助金や支援策で日本の農家を守るべきです。そして農業の持続可能性を確保する必要があります。
まとめ
4月から食料供給困難事態対策法が施行されます。これは食料不足が生じる場合には政府の指示のもと農作物をつくるという法案です。懸念点としては国内の食料が不足した場合、作物の輸入を促すという条項も含まれてます。これでは海外作物と日本の農業が競合することになり、増々日本の農家離れが加速ばかりです。そもそも今までの減反政策のしわ寄せで去年の米不足が発生しました。食料供給困難事態対策法のような緊急時の対策も必要ですが、平時からの農業(強化)対策が最も重要となります。