
油は私たちの体に欠かせない三大栄養素の1つです。1つ1つの細胞の周りにある細胞膜は油でできています。また、脳の約60%〜65%は油でできているため、健康な体のために良質な油を摂ることはとても大切です。
体に良い油を選び、正しい使い方をすれば健康効果を高めることができます。しかし、油の種類や使い方によっては、健康リスクを高めてしまうのです。
この記事では、体に良い油と避けたい油の特徴や、健康的な油の選び方を詳しく解説していきます。
毎日の食事の中で、体に良い油を選択していきましょう。
体に良い油と避けたい油の違い
油には大きく分けて2種類あり、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があります。
健康を考え、体に良い油を摂るならば、不飽和脂肪酸を選びましょう。
それぞれの具体的な種類や特徴をご説明します。
「飽和脂肪酸」は、常温では固体のもので、下記のようなものがあります。
・ラード
・バター
・ココナッツ油
・パーム油
摂りすぎると、悪玉コレステロールや中性脂肪を増やしたり、心筋梗塞や肥満など健康に悪影響を及ぼしたりします。

「不飽和脂肪酸」は、常温では液体のもので、大きく分けて3つの種類があります。
- オメガ9系(オレイン酸)
オリーブオイル、菜種油(キャノーラ油)、米油、ひまわり油に多く含まれます。不飽和脂肪酸の中では、酸化しにくいため加熱調理に向いています。
期待される効果は、悪玉コレステロールを下げることや、肌の弾力がアップすることです。 - オメガ6系(リノール酸)
サラダ油、ごま油、大豆油、グレープシードオイルに多く含まれています。血を固まりやすくしたり、免疫細胞の働きを活性化させたりする効果があります。しかし、過剰に摂りすぎてしまうと、血液がドロドロになり血栓ができやすかったり、アレルギーやアトピーの原因にもなったりするため、摂取量に気をつけなければなりません。 - オメガ3系(α-リノレン酸、DHA、EPA)
エゴマ、亜麻仁油、魚に多く含まれています。血液をサラサラにしたり、アレルギーなどの炎症を抑制したりする効果があります。

オメガ6系とオメガ3系は「必須脂肪酸」と言い、体内で生成できず、食事から摂る必要がある油です。オメガ6系は、加工品や外食で多く使われているため、知らずに多く摂取している可能性があります。そのため、オメガ6系は減らす意識をして、オメガ3系を積極的に摂るとバランスよく摂取することができます。
避けたい油の種類と注意点
避けたい油は、「酸化した油」と「トランス脂肪酸」です。
これらを摂取すると、細胞膜の質が低下し、老化やガンなどの健康リスクを高めたり、胎児や幼児の発育にも影響を与えたりします。また、脳の神経回路がうまく形成されないため、記憶力低下や認知症の発症リスクを高めます。

- 「酸化した油」を避けるための対策
油は、酸素、熱、光によって酸化します。そのため、直射日光を避けて暗所での保存をすることで酸化を抑えられます。コンロ付近などの温度が上がりやすい場所には置かないようにしましょう。
油の種類によって加熱に強いものと、加熱に向かないものがあります。
・加熱に強い油・・・オメガ9系(オリーブオイル、菜種油、米油)
・加熱に弱い油・・・オメガ6系(サラダ油、ごま油、大豆油)
・加熱してはいけない油・・・オメガ3系(エゴマ、亜麻仁)
オメガ3系の油は、特に酸化に弱いため、遮光瓶や箱に入れて冷蔵で保存をしましょう。また、1ヶ月程度で使い切れる量を購入することをおすすめします。
調理する際は、オメガ9系のオリーブオイルや米油を使い、サラダなどにはオメガ3系の油を使うと良いでしょう。
- 「トランス脂肪酸」を避けるための対策
トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングに含まれます。そのため、原材料表示を確認して、マーガリンやショートニングが入っていない食品を選ぶことで避けられます。
また、揚げ物など、油を高温で長時間加熱する過程でも作られるため、揚げ物の摂取回数を減らし、同じ油を繰り返し使わないようにすると安心でしょう。

まとめ
油の選び方や使い方を見直すだけで、健康リスクを減らしたり、肌の質が良くなったりと、体への影響は大きく変わります。体内で作られないオメガ3系を積極的に摂ることを意識しながら、加熱する際の油と、ドレッシングなどの生食用の油を分けて使っていきましょう。
体に良い油を積極的に取り入れ、避けたい油を減らす意識をすることで、健康な体づくりに繋がります。ぜひ、この記事を読んだあとに、家にある油を確認してみましょう。使い方を見直し、上手に油を摂って、毎日の食事に役立ててくださいね。
